バンコクで猫と共に生きる:チコさんが築いたカフェと保護猫活動の物語
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タイへの移住とビジネスの開始
1997年日本での仕事を辞め、知人デザイナーが立ち上げたインテリア会社をサポートするためにタイ・バンコクへ移住。タイでの新しい挑戦に意欲的に取り組み、数年後には自らのビジネスを始める決意を固めます。アジア通貨危機の影響で経済が悪化する中でも、タイでの生活や文化に徐々に適応し、カフェと雑貨を融合させた店舗を開業しました。
雑貨カフェの設立
バンコクにまだカフェ文化が浸透していない頃、チコさんは自身の雑貨店に小さなカフェスペースを設け、訪れるお客さんに休憩できる場所を提供しました。このスペースは、コーヒーを楽しむ場が少なかった当時のバンコクで新しい試みとして人気を集め、店は成長していきました。雑貨の多くがオリジナルで制作され、タイらしい素材やモチーフを活かした商品が並びます。チコさんのデザインやインテリアに対するセンスが、カフェの個性的な魅力を引き立てています。
保護猫活動と移転後のカフェでの新たな展開
カフェ設立当初、店の敷地で野良猫が子猫を産んだことをきっかけに、チコさんは保護猫活動を開始しました。その後、シャム猫の保護と保存に力を入れてきました。カフェが拡大し、猫たちのスペースをより確保するため、1年前に現在の店舗に移転しました。新しいカフェは一軒家で、さらに多くのお客様がシャム猫と触れ合える環境を整え、タイの保護猫活動を広める場としても機能しています。
多岐にわたる活動
タイでのビジネスに加え、チコさんは日本のファッション雑誌における企画コーディネーターとしても活躍しています。雑誌の特集やタレントの写真集、PVの撮影など、多岐にわたるプロジェクトに携わり、そのセンスを活かしてさまざまなコーディネートを手がけています。
コラム執筆とライフワーク
チコさんはタイのメディア媒体でコラムを連載しており、これまでに436回以上の記事を執筆してきました。コラムの内容は、ファッションや日常生活、運動に関する話題など多岐にわたり、読者に親しまれています。彼女にとってコラム執筆はライフワークの一つであり、日々の経験やチャレンジを通して培った視点を、文章で表現し続けています。
バンコクで活躍するビジネスパーソンを特集する本企画。
今回は、雑貨も取り揃える猫カフェの経営や保護猫活動、ファッション雑誌のコーディネーター、コラムニスト等、多彩な分野で活躍するチコさんの回です。
Q1. タイに来られたきっかけを教えてください。
1997年、都内で勤めていた仕事を辞め、今後どうするか悩んでいた際、デザイナーの知り合いから「インテリアの会社を立ち上げるため、タイに来てみないか」という誘いを受けました。タイのことはあまり知らなかったものの、もともと海外での仕事に興味があったことと、「行けばなんとかなるだろう」という思いからタイに渡りました。
Q2. 当時のタイ・バンコクの様子を教えてください。
現在は目まぐるしい発展を遂げているタイですが、当時は全然でした。バンコクの交通インフラも整っておらず、BTS(バンコク・スカイトレイン)の建設がようやく始まる時期でした。当時のタイは混沌とした様子が垣間見られましたよ。
Q3. なぜバンコクでカフェを開業されたのですか。
私がタイに来てまもなく、アジア通貨危機が発生しました。タイの経済もその影響からは逃れられず、打撃を受けました。私が働いていた会社も例外ではなく、縮小を余儀なくされ、数年後には閉鎖することになりました。そんな経済不況の中で、タイを舞台に自分でビジネスをする決意を固めました。
もともとインテリアデザインや雑貨が好きだったので、タイで雑貨店を立ち上げました。そして「雑貨を見に来たお客さんが、ちょっと休めるスペースを作りたい」と考え、小さなカフェスペースを設けました。現在のカフェと雑貨が共存するスタイルの原点です。
Q4. 海外でビジネスをするということに恐れはなかったですか。
もちろん、初めての海外でのビジネスは不安もありましたが、あまり恐れは感じませんでした。というのも、学生時代にヨーロッパをバックパッカーとして旅していた経験があったんですね。また、沢木耕太郎さんの『深夜特急』に描かれていたアジアの活気ある混沌や、未知の世界に飛び込む姿勢が、私自身の冒険心を掻き立てていたんです。だから、タイに来た時も『行けば何とかなる』という感覚で飛び込めましたし、ビジネスもその延長線上でした。バックパッカーの旅で得た柔軟さやチャレンジ精神が、今でも大きく活かされていると思います。恐れよりも、新しい世界で自分が何をできるか試すことへのワクワク感の方が強かったです。
Q5. カフェ開業当時、バンコクでの「カフェ文化」はどのような状況でしたか。
当時のバンコクにはまだカフェ文化が根付いておらず、カフェのような場所はほとんど存在しませんでした。スターバックスの1号店がオープンするかどうかという時期で、コーヒーを楽しむためには高級ホテルへ行くしか選択肢がなかったため、カジュアルに立ち寄れるカフェはほぼなかったです。
Q6. カフェが猫が共存する空間になった経緯を教えてください。
実は猫がシグネチャーの空間になったのは、偶然の出来事からなんです。お店を始めた当初、店の敷地内で野良猫が子猫を産んでしまって、そのまま保護することにしました。それがきっかけで、店内で猫を飼うようになり、お客さんたちも猫を可愛がってくれるようになりました。猫たちはお店のシンボルのような存在になり、次第にカフェと猫が共存するスタイルができあがっていきました。
Q7. チコさんは保護猫活動もされていますよね。
もともと猫好きというのもありますが、猫たちと一緒に過ごすうちに、自然と猫に対する思いが深まっていきました。特にシャム猫は、タイの伝統的な猫種で、その数が減少していることを知ってからは、彼らを守るための活動にも力を入れています。数年前にシャム猫の保護施設の建て直しをサポートするため、クラウドファンディングを行いました。多くの方々から支援をいただき、その資金で施設の修復を行い、今もその施設と密に連携しています。
カフェでもシャム猫たちと触れ合えるスペースを提供し、お客様にも猫たちの魅力を知っていただく機会になればと願っています。また、お客様の中で猫を引き取りたいという方がいれば、保護施設とつなげて新しい家族を見つけるお手伝いもしています。
Q8. カフェ経営や保護猫活動以外にも様々なシーンご活躍されているとお伺いしました。
そうですね、おかげさまでいろいろな分野でお仕事をさせていただいています。本業の雑貨では元々インテリアデザインの仕事をしていたこともあり、日本のお客様へのOEM商品の開発、輸出などもしております。また、日本のファッション雑誌に関わる仕事も長年続けており、特集の立ち上げや撮影現場のコーディネートなどを行っています。それは特に女性誌が多いのですが、ほかにもタレントさんの写真集やPVの撮影等さまざまなプロジェクトに携わっています。もう20年近くコラム連載も続けています。
運動も好きで、最近はタイで開催されるスパルタンレースに挑戦したり、フィットネスに取り組んでいます。実際にスポーツや健康に関する話題をコラムに書くこともありますし、オンラインでトレーニングを教えたりすることもあります。
Q9. 多方面でご活躍のチコさんにとっての猫の存在とは。
私にとって猫は、心の癒しであり、生活の一部そのものですね。カフェの経営やメディア関連の仕事、コラム執筆などを行う中で、猫たちと過ごす時間は、心が落ち着く大切な時間です。彼らと過ごす時間や、猫を通してお客様と繋がれることが、私にとってかけがえのない喜びです。
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バンコクで働く方
Chico(チコ)オーナー:チコさん
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エリア名
トンロー
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住所
321 Ekkamai 19 Alley, Khlong Tan Nuea, Watthana, Bangkok 10110
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いつからタイで働いていますか
27年前
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サービス内容
猫と共生する雑貨カフェを経営し、タイを拠点に保護猫活動を展開。カフェでは、オリジナルの雑貨を販売しながら、シャム猫などの保護猫と触れ合えるスペースを提供しています。また、日本のファッション雑誌のコーディネートやタイメディア媒体でのコラム執筆など、多方面での活動も精力的に行い、タイと日本の文化をつなぐ重要な役割を果たしています。
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お仕事の依頼先
メールアドレス:chico@chico.co.th IG:chicoshopbkk. Line:chicoshopbkk