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バンコクで働く絵本作家「前田ゆうきさん」をご紹介

  • バンコクで働く猛者

    絵本作家・前田ゆうきさん:前田ゆうきさん

    音楽活動 初期のキャリアでは、音楽活動に取り組んでおり、バンド活動や作曲などを行っていました。音楽を通じて自分の表現力を養い、クリエイティブな視点を育ててきましたが、後に人生の方向性を見直すきっかけとなり、別の分野での挑戦を決意します。 バンコクへの移住 音楽活動を経て、彼はタイ・バンコクに移住しました。バンコクを選んだ理由は、彼自身が多文化的な影響を受けた背景から、異国の地での新たな挑戦を求めたためです。タイでの生活は初めこそ苦労もありましたが、その経験が彼の創作活動に大きな影響を与えました。 絵本作家としてのキャリア バンコクに移住後、彼は絵本作家としての道を歩み始めました。最初は小さな規模での販売を行っていましたが、次第にタイ国内での評価が高まり、絵本が広く認知されるようになります。作品の特徴として、子供にも大人にも楽しめる「ダブルミーニング」を取り入れ、さらに多様性を意識したキャラクターや物語を描いています。 アート活動と出版 絵本制作に加え、彼はアート活動にも力を入れており、出版業界でも一定の評価を得ています。タイの学生や若年層を中心に作品が受け入れられ、徐々にその知名度を広げていきました。また、日本での受賞歴を持つ作品もあり、それをタイに持ち込んで成功させた経験もあります。 タイでの成功とその後の活動 タイでの生活を続ける中で、アルバイトやさまざまな仕事をしながらも絵本の制作・販売を続け、少しずつ成功を収めていきました。サービスアパートメントの閉鎖やコロナ禍など、多くの困難を乗り越えながら、現在ではタイ国内で99%のシェアを持つ絵本作家として活躍しています。 フリーランスへの転身 出版会社の社長からの助けもあり、彼はフリーランスとして独立し、自らの絵本やアート作品を制作・販売しています。また、タイ国内の市場に特化した絵本やアートを展開し、その創作活動を通じて多くのファンを獲得しています。 タイでの芸術家としての活動 約7〜8年を経て、彼は理想的な生活を掴み、芸術家としてのキャリアを築きました。現在もタイ国内で活動を続けながら、タイの学生や若者を中心に、自分の作品を広めています。
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前田ゆうきさん: バンコクに来てしばらくして、日常生活や仕事の中で、改めて「自分は何を本当にやりたいのか?」ということを真剣に考えるようになりました。音楽の道を離れた後も、クリエイティブなことに対する情熱は消えていなかったので、好きなことが何かを改めて見つめ直すことにしました。

梶村: 好きなことを考える過程で、どんな経験が思い浮かびましたか?そこからどのような結論に至ったのでしょうか?

前田ゆうきさん: 思い返したのは、音楽活動だけでなく、子供の頃から絵を描くことが好きだったことです。自分のアイディアをビジュアルで表現することが昔から好きで、音楽をしていた時もアートワークやデザインに関わることが楽しかったんです。それで「絵本を作ってみよう」と思い立ちました。アイディアをどうやって形にするかを考える中で、絵本は自分にとって一番自然な表現方法だと感じました。

梶村: それで絵本を制作することになったんですね。アイディアをどのようなプロセスで絵本にまとめていったのでしょうか?

前田ゆうきさん: はい、まずは絵のストーリーやテーマを練ることから始めました。実際に絵を描き始める前に、何を伝えたいのか、どのような感情やメッセージを込めるのかをじっくり考えました。そして、アイディアをまとめた後、実際に絵を描きながらページを構成し、絵と文章のバランスを意識しながら作り上げていきました。最初は自分で手作りの絵本を作って、少しずつ人に見せてフィードバックをもらっていました。

梶村: 絵本が完成してからの実績や、どのように販売が広がっていったのか教えていただけますか?

前田ゆうきさん: 最初は本当に小さな規模で、自分で作った絵本を地元のマーケットや小さなイベントで販売していました。ですが、少しずつ口コミで広がり、イベントで出展した際に出版社の方に声をかけていただいたのがきっかけで、正式に出版することが決まりました。その後はオンラインでも販売を始め、さらに広がっていきました。

梶村: 素晴らしいですね。絵本で賞を取った話もあるそうですね。

前田ゆうきさん: はい、絵本の内容が評価されて、地元のコンペティションで賞をいただいたことがあります。それがまた次のステップにつながり、もっと多くの人に作品を知ってもらう機会になりました。

梶村: その後、第二期としてタイを選んだ理由は何だったのでしょうか?

前田ゆうきさん: タイは、文化的にとても自由で、多様性が受け入れられる環境が整っていると感じました。私が表現したいものや伝えたいメッセージを、タイの文化や人々が受け入れてくれると思ったんです。それに、タイの経済成長も魅力的でしたし、これからクリエイティブな分野で多くのチャンスがあると確信していました。

梶村: タイでの生活はどのように始めたのですか?アパートを借りて営業を始めたプロセスについても教えてください。

前田ゆうきさん: 最初は本当に手探り状態で、タイ語も英語も完璧ではなかったので、コミュニケーションが大変でした。でも、タイの人々はとても親切で、何度も助けてもらいました。アパートを借りた後、現地のマーケットで作品を売り込みながら、ネットワークを広げていきました。営業に関しては、タイのビジネス文化や顧客との関わり方を学ぶのに苦労しましたが、少しずつ信頼を築いていきました。

梶村: 最初は90日間で帰ってくるつもりだったそうですが、なぜタイで活動を継続することになったのですか?

前田ゆうきさん: 最初は短期間のつもりでしたが、活動していくうちに、タイでの可能性やチャンスが広がっていることを実感しました。それに、タイの人々が自分の作品を受け入れてくれたことも大きな要因です。タイでやれることがまだまだたくさんあると感じ、継続することを決めました。

梶村: アルバイトをしながら続けたとお聞きしましたが、その頃はどんな状況でしたか?

前田ゆうきさん: 当初は出版だけでは生活が厳しかったので、アルバイトをしながら作品を作り続けました。コロナ禍の時期は特に大変で、仕事が減り、収入も不安定でした。それでも自分の夢を諦めたくなかったので、時間を見つけては絵を描き続けました。

梶村: シラチャエリアまで仕事を探しに行った話も聞いていますが、その時はどういう状況だったのですか?

前田ゆうきさん: コロナ禍でバンコクの仕事が減ったときに、シラチャというバンコクから少し離れたエリアまで仕事を探しに行きました。そこで、現地の会社で短期間ですが仕事をしていました。給与もタイ人に合わせて低かったですが、生活のためにやむを得ませんでした。その後、少しずつ貯金ができたので、また出版に向けて活動を再開しました。

梶村: 本が少しずつ売れ始めた時の話を聞かせてください。

前田ゆうきさん: そうですね、最初は本当に少しずつ売れていきました。イベントで売るのはもちろん、オンラインでの販売も少しずつ軌道に乗り始めました。そして、その頃に住んでいたサービスアパートメントが閉鎖するという出来事もあったのですが、その後に出版業界で働く方に助けてもらい、再び出版活動を本格化することができました。

梶村: その後、出版会社の社長さんに助けてもらいながら、フリーランスとして活動を始めたんですね。

前田ゆうきさん: はい、その通りです。助けてもらった社長さんのおかげで、自由に自分の作品を発表できる環境が整いました。そして、7年から8年の歳月を経て、ようやく自分が理想としていた状態に近づけた気がしています。

梶村: 芸術家として働く中で、どんな苦労がありましたか?

前田ゆうきさん: タイでの働き方は、日本とは大きく異なります。仕事の分業や役割の違いが明確で、日本のゼネラリスト的な文化とは対照的です。タイでは、自分の職務に誇りを持って働く人が多く、職域を越えると仕事を侵害しているように見られることがあり、組織の中での立ち振る舞いに気を遣いました。また、休みも少なく、創作活動に割ける時間を見つけるのも大変でした。

梶村: それでも、今では創作活動の時間を取れるようになったんですね。

前田ゆうきさん: はい、少しずつですが、創作活動に集中できる時間が増えてきました。作品の販売も、タイ国内での売れ行きが好調です。99%はタイ国内での販売で、特に学生や高校生、女子大生に支持されています。

梶村: 売り方についても詳しく教えてください。

前田ゆうきさん: タイでは、SNSや口コミがとても強力なツールです。私は自分の作品をSNSで積極的に発信し、イベントでも直接対話を重視しています。ゆるキャラの要素を取り入れた作品もあって、それがタイの若者にうまくハマっています。

梶村: なるほど、タイでのゆるキャラの話も興味深いですね。タイで出版まで手がけている作家は他にいらっしゃるのでしょうか?

前田ゆうきさん: 絵を描いている人はたくさんいますが、私のように自分で出版までしている人は少ないと思います。

梶村: 絵本について、アピールポイントみたいなものがあれば教えていただけますか?

前田ゆうきさん: そうですね。まず一つは、大人が読んでも子供が読んでも楽しめる内容にしている点です。いわゆるダブルミーニングというもので、子供が読んで楽しめる仕掛けと、大人が読んだら「こういうメッセージが込められているんだ」と感じるような要素をどの作品にも入れるようにしています。もう一つは、僕の作品には多様性がかなり反映されています。タイに来る前から、絵本を書く際には必ずいろんな国籍の人を登場させたり、なるべく多様性を感じられる内容にしています。そして、絵柄も少しゆるい感じで描いています。日本の文化で誇るべきものの一つに「へた馬」という概念があると思うんです。へた馬というのは、ちょっと下手に見えるけれど味わいのある絵のことを指すのですが、それを体現していると思いますね。

梶村: ありがとうございます。それでは次に、創作活動についてお聞きします。なかなか結果が出ないことも多いかと思いますが、その中で行動することが快感につながるというお話、興味深いですね。

前田ゆうきさん: はい、創作活動というのは本当に結果が出るまでが長いんです。例えば、僕が今販売しているカレンダーも、実は書いたのは3、4年前なんですよね。当時はあまり注目されませんでしたが、タイに来てから急に受け入れられて、今ではそれなりに売れるようになりました。こういった経験から、いつ売れるかわからないものもあれば、すぐに結果が出るものもあることを学びました。

梶村: それは非常に興味深いです。結果が出るまでのプロセスの中で、どんなことを意識されていますか?

前田ゆうきさん: 僕が重要視しているのは、行動して結果を出すことです。どんなに小さなことでも行動に移せば、必ず何らかの反応が返ってくる。それが大きな喜びになります。例えば、ネット上で作品がバズるかどうかは予測できませんが、人と直接会って話をすることで、リアルなフィードバックが得られます。これが僕にとっての快感であり、モチベーションを保つ源なんです。

梶村: 確かに、リアルなフィードバックを得ることは大切ですね。ネット上での反応と比較して、直接会って得られる反応にはどんな違いがありますか?

前田ゆうきさん: ネット上での反応は時に一方的で、予測不可能な部分が多いんですよね。でも、実際に人に会って話すことで、その場での反応をダイレクトに感じられます。例えば、20の出版社を回れば、そのうち1つは必ず返事をくれる。それに比べて、ネットでバズるかどうかはまるで宝くじのようなものです。もちろん、ネット上での発信も大事ですが、直接的なアプローチが成功への近道だと感じています。

梶村: それはとても参考になりますね。表現者として、ネット上での発信とリアルでの活動のバランスをどのように取っていますか?

前田ゆうきさん: どちらも大事です。ネット上での発信は必須ですが、それにばかり頼るのは危険です。リアルでの活動、つまり人と会って話をしたり、作品を見てもらったりすることも不可欠です。表現者として、やはり自分の作品を直接届ける喜びを大切にしたいです。

梶村: そのバランスの取り方、非常に勉強になります。具体的にどのように1日の時間を使って、創作活動やビジネス面を管理されているのか、教えていただけますか?

前田ゆうきさん: そうですね、僕の1日の時間の使い方は、作品を作る時間、発信する時間、そしてビジネス面を処理する時間に分けています。作品を作るのが一番大切ですが、それだけに集中しているとビジネスが回らないので、SNSでの発信も欠かせません。また、人と会うことや出版社とのやりとりなど、直接的なビジネスも非常に重要なので、そちらにも時間を割く必要があります。どれもバランスが重要で、どれか一つに偏ると、全体の仕事が進まなくなってしまいます。

梶村: 確かに、バランスを取るのは難しいですよね。その中でも、特に印象に残っている出来事や成功体験があれば教えてください。

前田ゆうきさん: 印象に残っているのは、最初にタイでカレンダーを販売したときのことです。実は、そのカレンダーは最初、日本であまり注目されなかったんです。でもタイで販売してみたら、予想以上に好評で、タイの文化や市場との相性が良かったのかなと思いました。その後、徐々に他の作品も売れるようになり、今では学生や女子大生を中心に、特に若い層に人気があります。そういった成功体験があると、次の挑戦にも自信を持って取り組めるようになりますね。

梶村: なるほど。タイの文化や市場にうまくフィットした作品が成功の鍵だったんですね。それでは、タイでの販売活動についてもう少し詳しく教えてください。どういったプロセスで展開していったのですか?

前田ゆうきさん: はい、タイでの活動は、まず小さな展示会やマーケットに出展することから始まりました。最初は本当に手探りで、どの層にアピールすれば良いのかも分からなかったのですが、イベントに参加することで直接消費者の反応を得ることができました。その結果、特に若い層が僕の絵本に興味を持ってくれることが分かり、そこから徐々にマーケティング戦略を練っていきました。口コミやSNSでの拡散も大きな役割を果たしてくれて、少しずつ販売が広がっていきました。

梶村: それは素晴らしいですね。タイでの販売が成功した背景には、どのような要因があったと感じていますか?

前田ゆうきさん: やはり、タイの文化や市場に合った作品を作ったことが大きいと思います。それに加えて、僕が一貫して多様性を意識して作品を作ってきたことも、タイの人々に共感してもらえたのかもしれません。特にタイでは、多国籍な文化が共存しているので、いろんな国籍やバックグラウンドのキャラクターが登場する僕の絵本が受け入れられやすかったのかもしれませんね。

梶村: そういった多様性を意識した作品作りは、日本でも注目されていますか?

前田ゆうきさん: そうですね、日本でも多様性が注目されるようになってきていますが、タイほどではないかもしれません。日本ではまだ伝統的な価値観が強く、少しずつ変わりつつある段階です。僕自身も日本での活動を通じて、少しずつ多様性を取り入れた作品が受け入れられるように工夫しています。

梶村: 今後の目標や展望についてお聞かせいただけますか?

前田ゆうきさん: 今後の目標は、もっと多くの国で僕の作品を手に取ってもらうことです。タイを拠点にしながらも、アジア全体、そしてさらに世界へと展開していきたいと思っています。また、新しい絵本の制作も進めていて、次の作品ではさらに多様性をテーマにした内容にする予定です。絵本を通じて、少しでも多くの人々にメッセージを伝えていければと思っています。

梶村: 素晴らしい展望ですね。最後に、これから創作活動を始めようとしている若い人たちへのアドバイスがあれば教えてください。

前田ゆうきさん: 一番大切なのは、続けることです。結果が出るまでには時間がかかりますが、必ず何かしらの形で反応が返ってくるはずです。そして、その反応を楽しみながら自分の作品を磨いていくことが大事だと思います。また、人と会って話をすることも非常に重要です。ネット上での発信だけでなく、リアルな場で自分の作品を伝えることで、新たなチャンスが生まれることも多いので、ぜひ挑戦してみてください。

  • バンコクで働く方

    絵本作家・前田ゆうきさん:前田ゆうきさん

  • エリア名

    アソーク

  • 住所

  • いつからタイで働いていますか

  • サービス内容

    多様性をテーマにした絵本を制作し、タイを中心に展開しています。彼の絵本は、子供にも大人にも楽しめる内容で、メッセージ性のある作品を作ることに力を入れており、タイの若年層を主なターゲットに販売を広げています。また、彼はアート活動も行い、創作活動を通じてメッセージを発信し、多国籍文化に共感できる内容を提供しています

  • お仕事の依頼先

    https://ehon-maedayuki.com/

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2024/09/18

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